フューチャリスティック・デザインの手巻き時計 《エレッタ》 1970年代のカラー文字盤 銀無垢ベゼルの高級品 スイス 1970年代

ELETTA, Unitas cal. 6365N, 17 jewels, Swiss, 1970s



 1970年代に流行したフューチャリスティックな意匠に、やはり当時の流行であったカラー文字盤と白い針を組み合わせた女性用時計。1960年代までの女性用時計に比べると格段に大きなサイズです。当時のSF映画に出てきそうな前衛的デザインは、1970年代に作られた時計ならではの特徴です。





 時計内部の機械を「ムーヴメント」(英 movement)といいます。ムーヴメントを保護する金属製の筐体(きょうたい)、すなわち時計本体の外側を「ケース」(英 case)といいます。ケースは「ベゼル」(英 bezel)と裏蓋に分かれます。ベゼルはムーヴメントを保護するとともに、風防(いわゆる「ガラス」)を嵌める枠としても機能します。

 三時の位置でケース側面から突出するツマミを「竜頭」(りゅうず)といいます。本品をはじめ、アンティーク時計(ヴィンテージ時計)は「機械式」で、電池ではなく、ぜんまいで動いています。時計のぜんまいを巻き上げるとき、及び時刻合わせを行うときに、竜頭を操作します。竜頭の操作方法はとても簡単です。竜頭を右回りに回転させると、ぜんまいが巻き上がります。竜頭を一段階引き出して右回りまたは左回りに回転させると、針を早回しすることができます。





 本品のベゼルは厚みと重みがあり、視覚的にも重厚な高級感があります。ベゼルは純度八十パーセントの銀製で、竜頭に近いベゼル側面に、「雷鳥」の刻印があります。「雷鳥」の刻印は、純度八十パーセントの銀を示すスイスのホールマーク(英 hallmark 貴金属の検質印)です。銀にはロジウムめっきが施されており、硫化による黒ずみはありません。





 本品はケースと風防を含めた全体が優雅な曲面を描いており、女性用時計にふさわしいデザインです。裏蓋も手首に沿うように優しく湾曲していて、快適に着用できます。

 ケースは時計の外形を決定するゆえに、時計をデザインする上で最も重要な要素ですが、審美的役割のほかにも、ムーヴメントを保護するという重要な役割を有します。時計ケースのなかで最も弱いのは、裏蓋です。日々の使用するなかで、裏蓋は手首と擦れ合って摩耗し易い部分です。しかしながら本品のケース裏蓋はステンレス・スティール製で、摩耗に強く、アレルギーも起こしにくい素材です。上の写真に見える「フォン・ダシエ・イノクシダブル」(仏 fond acier inoxidable)の刻印は、フランス語で「ステンレス・スティール製裏蓋」という意味です。





 時計において、時刻を表す刻み目や数字が配置された板状の部品を「文字盤」(もじばん)または「文字板」(もじいた)といいます。本品の文字盤は 1970年代に流行した「カラー文字盤」で、グラデーションが美しい緑色です。

 文字盤の周囲十二か所にある「長針五分ごと、短針一時間ごと」の数字を「インデックス」(英 index)といいます。インデックスのデザインは時計の年代によってはっきりとした特徴があり、1960年代及び 1970年代は棒状の「バー・インデックス」が圧倒的に多くなります。特に本品のようなカラー文字盤の時計は、白色の針と白色のバー・インデックスが美しい特徴となっています。





 文字盤の上部に「エレッタ」(ELETTA)のロゴがあります。文字盤最下部には小さな文字で「スイス・メイド」(英 SWISS MADE スイス製)と書かれています。

 「エレッタ」(伊 etella)はイタリア語の動詞エレッジェーレ(伊 eleggere 選ぶ)の過去分詞女性単数形で「選ばれた女性」という意味、あるいは「選択」「えり抜きの人々」という意味の女性名詞です。「エレッタ」の時計はたいへん珍しいですが、筆者は同ブランドの広告を見たことがあり、そこには男性用時計も掲載されていましたので、このブランド名は「選択」「えり抜きの人々」という意味でしょう。しかしながら本品は女性用時計ですので、文字盤に書かれた「エレッタ」の文字には「選ばれた女性」という意味も籠められています。





 本品のクリスタル(風防)は高透明度のアクリル樹脂(プレクシグラス、ルーサイト)で、良好な状態です。クリスタルの下面は文字盤を囲む部分が黒く着色されています。風防周縁の黒い部分は、十二時側及び六時側が先端が鏃(やじり)状に尖っています。筆者(広川)はこの部分を見て、本品と同時代のSFドラマ「スター・トレック」に出てくるマーク(スターフリートの徽章)を思い浮かべました。





 時計内部の機械を「ムーヴメント」(英 movement)といいます。上の写真は本品から取り出したムーヴメントです。

 本品のムーヴメントは電池ではなくぜんまいで動いています。電池で動く「クォーツ式」腕時計が充分に普及したのは、1980年代のことです。本品が製作された 1970年代にはまだ多くの腕時計がぜんまいで動いていました。

 本品のようにぜんまいで動く時計を「機械式時計」といいます。クォーツ式時計と機械式時計は、耳に当てたときに聞こえる音が全く異なります。秒針があるクォーツ式腕時計を耳に当てると、秒針を動かすステップ・モーターの音が一秒ごとに「チッ」、「チッ」、「チッ」 … と聞こえます。デジタル式など秒針が無いクォーツ式腕時計を耳に当てると、何の音も聞こえません。これに対して機械式時計、すなわち本品のようにぜんまいで動く腕時計や懐中時計を耳に当てると、小人が鈴を振っているような小さく可愛らしい音が、「チクタクチクタクチクタク…」と連続して聞こえてきます。





 現代のクォーツ・ムーヴメントはプラスチック製ですが、機械式時計のムーヴメントは丈夫な金属で作られています。赤く見えるのはルビーです。

 良質の機械式腕時計、懐中時計には、摩耗してはいけない部分にルビーを使います。ルビーはモース硬度「九」と非常に硬い鉱物(コランダム Al2O3)ですので、時計の部品として使用されるのです。本品のムーヴメントには十七個のルビーが使用されています。写真ではルビーが五個しか見えませんが、あとの十二個は機械の裏側(文字盤側)など、上の写真に写っていない部分に使われています。本品のように十七個のルビーを使用した「十七石」(じゅうななせき)のムーヴメントは、摩耗してはならない箇所のほぼすべてにルビーを使用しており、「ハイ・ジュエル・ムーヴメント」(英 high jewel movement)と呼ばれる高級品です。





 本品のムーヴメントは、スイスのユニタス社が制作した「キャリバー 6365N」です。「ユニタス キャリバー 6365N」(UT 6365N)は十七石の手巻きムーヴメントで、ハイ・ジュエル・ウォッチ用の高級機です。

 1970年代、本品のような銀無垢ハイ・ジュエル・ウォッチの価格は、初任給のおよそ三カ月分でした。現代のクォーツ時計に比べるとずいぶんと高価ですが、現在スイスで作られている機械式時計も、価格はやはり数十万円です。ほとんどのクォーツ時計には、実はおもちゃのようなプラスチック製ムーヴメントが入っていて、そのせいで安く手に入るようになったのですが、良質の機械式時計の値段は、昔も今も変わりません。

 本品のムーヴメントは天符の振り角も大きく、良好なコンディションです。オシドリの嵌まる竜真の窪み、キチ車と鼓車の噛み合わせ部分、裏押さえの腕部分等、消耗しやすい部分にも異常はありません。アンティーク時計はどこの店でもほぼ現状売りで、修理にはなかなか対応してもらえませんが、当店ではアンティーク時計の修理に対応していますので、ご安心ください。当店の修理対応につきましては、こちらをご覧くださいませ。





 バンドについて。時計とバンドは別々のメーカーが作っていますから、アンティーク時計とバンドの組み合わせに必然性はありません。アンティーク時計に元々取り付けられていたバンドが破損している場合は取り換える必要がありますし、バンドが使える状態で残っているとしても、それは時計をもともと所有していた人が自分のサイズや好みに合うバンドを取り付けたのがたまたま残っているというだけのことです。ですからバンドは自分に合うものを選ぶのが、アンティーク時計との正しい付き合い方です。

 本品に適合するバンドの幅は、十ミリメートルです。商品写真は白い革バンドを取り付けて撮影しましたが、他の材質・色に交換しても構いません。バンドは消耗品ですから、長く使用していると必ず傷みますが、取り付け部の幅さえ合っていれば、市販のバンドにいつでも交換できます。バンドに関しては、アンティーク時計も現代の時計も違いはありません。ご安心ください。





 時計は無料でオーバーホール(分解掃除)をした後にお渡しいたします。お買い上げ後も期限を切らずに修理に対応しますので、日々ご愛用いただけます。お支払方法は現金一括払い、ご来店時のクレジットカード払いのほか、現金の分割払い(二回、三回、六回、十回、十五回など。金利手数料不要)でもご購入いただけます。当店ではお客様のご希望に出来る限り柔軟に対応しております。バンド等付属品に関すること、お支払方法に関することなど、どうぞ遠慮なくご相談ください。





168,000円

電話 (078-855-2502) またはメール(procyon_cum_felibus@yahoo.co.jp)にてご注文くださいませ。




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