最初期の耐衝撃装置付レディース・ウォッチ

エルジン 17石 adjusted


ムーヴメントの種類: Elgin cal. 705


10Kロールド・ゴールド・プレートのケースに、ステンレス製裏蓋

白色文字盤

金色のブレゲ数字による立体インデックス

金色の針


1955年頃



 いかにもヴィンテージ物に相応しい、1940年代から50年代に特徴的なデザインのレディース・ウォッチ。電池ではなくぜんまいで動く「手巻き式」で、ムーヴメント(時計内部の機械)は 17個のルビーを使用した高級品です。17個のルビーを使用したムーヴメントには優れた耐久性があり、一生ものとして使うことができます。



【文字盤と針】

 文字盤は上品な艶消しオフホワイト(わずかにクリーム色がかった白)で、曲線的で優雅な斜体アラビア数字、いわゆる「ブレゲ数字」による金色の立体インデックスを採用しています。文字盤を囲む黒い円と分毎の刻み目がアクセントになっています。





 本品の文字盤は再生処理を施しておらず、オリジナルです。アンティーク時計の淡い色の文字盤は、茶色く変色している場合が多いですが、本品の文字盤にはひどい変色や疵(きず)、描いた線の途切れ等、特筆すべき瑕疵(かし 欠点)はまったく無く、たいへん綺麗な状態です。上の写真は、光の反射を抑えるために、風防を外して撮影しています。


 文字盤には「エルジン」(ELGIN) の文字と "dp" のマークが書かれています。

 「エルジン」は 1864年に創業したアメリカの時計会社です。自社の天文台を持つ世界で唯一の時計会社で、この天文台で星を観測して誤差数百分の1秒以内という正確な時刻を割り出し、数々の名機と高品質の時計を製作していました。

 エルジン社は1960年代に操業を停止しましたが、高級時計メーカー「エルジン」のブランド名は会社が無くなってから転売されて、無関係の時計の文字盤に書かれるようになりました。したがって現在販売されている「エルジン」ブランドのクォーツ時計は、かつてのエルジン社とはまったく関係がありません。


 "dp" のマークは、主ぜんまいの原料であるエルジン社の新合金デュラパワー Durapower を表します。当時のエルジン社のパンフレットには、「錆びることも磁化することもないデュラパワーは、ここ200年の時計工学史上最高の発明です」と書かれています。





 本品は時針と分針の二針式で、直線的なシルエットの幅広の針が、良好な視認性(見やすさ)を確保しています。

 現代の時計はセンター・セカンド(文字盤中央に取り付けた秒針)のある三針式が普通ですが、センター・セカンドは製作が難しく、1960年代以降にようやく普及しました。それ以前の時代に製作された女性用アンティーク時計、ヴィンテージ時計には、秒針がありません。これは現代の「アンティーク風」レプリカ時計と本物のアンティーク時計を見分ける上での、外見上の大きな違いです。



【バンドについて】

 バンドの色や材質は自由に交換することができます。バンドを着換えると、時計全体の雰囲気ががらりと変わります。




 時計メーカーはバンドまで作っていません。アンティーク時計に付いているバンドは、もともとの所有者が自分のサイズや好みに合わせて、たまたまそのバンドを選んで付けているだけのことです。したがってアンティーク時計のバンドは「オリジナル」(もともと付いていたもの)にこだわる必要はまったくありません。当店ではお客様のサイズ、お好みに合わせて、お買上時に無料でバンド交換いたします。


【この時計のアメリカ製手巻ムーヴメント、「キャリバー 705」について】

 この時計に搭載されている機械は、エルジン社の手巻ムーヴメント「キャリバー 705」です。ムーヴメントとは、時計内部の機械のことです。

 「705」の受け、すなわちムーヴメントの表面は、エルジン社の他のキャリバーと同様に、丁寧に研磨されています。「キャリバー 705」はエルジンが作った最も小さなサイズの機械で、数々の名機を産み出したエルジン社による最終世代の女性用ムーヴメントです。最も後に作られたキャリバーであるだけに、計時の性能も優れていますが、これに加えて「耐衝撃装置」、すなわち天符(てんぷ)受けの受け石を押さえるバネが装備されています。この「耐衝撃装置」により、705よりも以前のキャリバーを搭載した機種に比べて、「普段使いが可能な時計」としての性能は格段にアップしました。





 「エルジン キャリバー 705」は 17石ムーヴメント、つまり17個のルビーを使用した高級機です。 コンディションはきわめて良好で、天符の振り角も大きく、スムーズに動作しています。

 電池ではなくぜんまいで動く時計を「機械式時計」といいますが、良質の機械式時計のムーヴメント(時計内部の機械)には、重要な部品の摩耗を防ぐために、ルビーが使われています。ルビーとサファイアはコランダムという鉱物で、いずれもモース硬度「9」と、たいへん硬い宝石です。ルビーを使うのが望ましい箇所は15箇所あって、そのすべてにルビーを入れると17個の石が使われることになります。

 17石のムーヴメントは「ハイ・ジュエル」(high-jewel) と呼ばれる高性能の機械です。上質の機械式ムーヴメントは見た目にもたいへん美しいものですが、この美しさは見せるためにうわべを飾ったのではなく、上質の物に自(おの)ずから備わる美、つまり機能美です。

 このエルジンが作られた時代、ハイ・ジュエルの時計は初任給の2カ月分から3カ月分の価格でした。現代のクォーツ時計に比べるとずいぶんと高価ですが、現在スイスで作られている機械式時計も、価格はやはり数十万円です。ほとんどのクォーツ時計には、実は数十円から百円程度のおもちゃのようなプラスチック製ムーヴメントが入っていて、そのせいで安く手に入るようになったのですが、良質の機械式時計の値段は、昔も今も変わりません。

 初任給の2カ月分から3カ月分の価格で売られていたハイ・ジュエルの時計は、適切なメンテナンスによって数十年間動き続ける「一生もの」です。「一生もの」である事を考えると、「初任給の2カ月分から3カ月分」という価格は決して高くはありません。現代のクォーツ時計でも、ブランド物を買えば数十万円しますが、クォーツ・ムーヴメントの心臓である「回路」の寿命は、高級時計のメーカー自身が言うところではおよそ七年、長く見積もってもせいぜい十年ちょっとです。

 これで分かっていただけたことと思いますが、もともとの価値の半分以下、ときには数分の一で手に入るアンティーク時計(ヴィンテージ時計)は、たいへんなお買い得品です。故障の際に部品が手に入らないという理由で、お買い上げ後の修理、メンテナンスに対応しない「現状売り」されるのが普通ですが、当店では長期に亙り修理に対応いたします。ご安心ください。


【お勧めポイント】

 現代の時計に比べて、女性用ヴィンテージ時計はたいへん小さく可愛らしいサイズです。このエルジンも、突出部分を除くケースの直径は 21ミリメートルちょっとで、100円硬貨(直径 23ミリメートル)よりも小さなサイズです。ただしムーヴメントがトノー型であるのに対してケースと文字盤は丸型ですので、この当時に一般的であったトノー型ケースの女性用時計に比べるとひとまわり大きく、十分な視認性(見やすさ)が確保されています。



 オーソドックスな丸型は飽きが来ず、ビジネスにもプライベートにも活躍します。丸型自体は珍しい形ではありませんが、文字盤とインデックスに備わった紛れもないアンティーク時計の表情、この時代特有のラグ(バンドを接続する突起)の形が、現代の品物には無い個性を、さりげなく主張しています。



 金色のケースは、10カラット・ゴールド(純度 10/24の金)の薄板を張った「ロールド・ゴールド・プレート」です。10カラット・ゴールドの色は淡く上品なシャンパン・ゴールドですので、金色が好きな方はもちろんのこと、銀色が好きな方にも抵抗なくお使いいただけます。

 アンティーク時計の「ロールド・ゴールド・プレート」はベース・メタルの上に金の薄板を張り付けたもので、現代の「エレクトロプレ-ト」(金めっき)に比べて10倍以上の厚みがあるため、非常に丈夫です。ケースの腐食は裏蓋側から起こりますが、本品のケース裏蓋はステンレス・スティールでできており、摩耗も腐食も起こしません。




 流行のブランド時計も恰好よくはありますが、所詮は何万本という単位で生産される量産品にすぎません。日常使いが可能で、日々の生活に潤いと上質の華やぎを与えてくれる「一点もの」、あらゆる華やかな場にもふさわしい「一点もの」を、ぜひ生涯の伴侶にお選びください。





本体価格 95,000円 販売終了 SOLD

電話 (078-855-2502) またはメール(procyon_cum_felibus@yahoo.co.jp)にてご注文くださいませ。




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