宝飾時計に使われるダイアモンドの品質
the quality of the diamonds used in jewelry watches



 採掘される天然宝石のうち、瑕疵の無い石はわずかな割合を占めるにすぎないことを、「宝石のグレード」の稿で説明いたしました。ジェム・クラス、ジュエリー・クラスに属するごくわずかな個数に対して、それよりもはるかに多い瑕疵のある石が採掘されます。それらの石の多くは、ファイン・ジュエリーにするには問題があるにしても、肉眼で見れば充分に美しく、廃棄するにはあまりにももったいないものです。

 宝石質であっても瑕(きず)のためにジュエリーにならない石は、宝飾時計に使われます。宝飾時計に使われる石はほとんどがダイアモンドで、この宝石の特性として輝きが非常に強いために、肉眼では瑕に気付きません。これらのダイアモンドは「時計用ダイアモンド」とも呼ぶべきものであり、ジュエリー用のダイアモンドとは品質が異なります。

 下の宝飾時計は当店の商品です。たいへん大きなダイアモンドが6個、使用されています。肉眼で見ると、いずれのダイアモンドもたいへん美しくきらきらと輝いています。

スイス製宝飾時計 294,000円

 それぞれのダイアモンドの品質を顕微鏡で観察してみます。



 まず12時側のダイアモンドを顕微鏡で点検します。



 Aの石にはクラウン側の内部に亀裂が入っています。この亀裂は石を光源に対して特定の角度に傾けた場合にのみ、顕微鏡で確認できます。亀裂は表面に達しておらず、肉眼で見てもまったくわかりません。



 BとCの石にはクラウン側に瑕があります。これらはダイアモンド結晶の成長過程で表面に生じる三角形の凹みがカットで除去しきれなかったものです。天然のダイアモンド結晶は必ずしも教科書に載っているような正八面体ではありませんし、内部にインクルージョンや亀裂もありますから、カットしても常に理想的な結果が実現できるとは限りません。

 次に6時側のダイアモンドを点検します。







 D、E、Fのいずれにも、クラウン側に瑕があります。この瑕はダイアモンド結晶表面の凹みに由来するものであり、これらの石が正真正銘の天然ダイアモンドである証しです。ジュエリーには使えませんが、時計用ダイアモンドとしては十分なクオリティです。


 ちなみにジェム・クラス、ジュエリー・クラスに分類される無瑕のダイアモンドを時計に使用するメーカーも、少数ながら存在します。ブロバ社はそのようなメーカーのひとつです。商品を見るには画像をクリックしてください。













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