アメシストと 9カラット・ゴールドによる花のペンダント アール・デコ期のイギリス製 26.7 x 39.3 mm


自然に吊り下げたときの、ペンダント本体とドロップを合わせたサイズ 横 26.7 x 縦 39.3 mm

イギリス  1920年代



 透かし細工の 9カラット・ゴールドに、二個のアメシスト(アメジスト、紫水晶)をあしらった軽やかなペンダント。いまからおよそ九十年前、1920年代のイギリスで制作された品物です。上部に外付けされた環に、9カラット・ゴールドの刻印 (9CT) があります。商品写真は別売りの鎖を付けて撮影しています。





 9カラット・ゴールド(九金 きゅうきん)は主にイギリスとロシアで使われる金(金の合金)で、375パーミル(375/1000 37.5パーセント)の金を含みます。十四金や十八金に比べると、貴金属としての純度は低いですが、たいへん丈夫なのが長所です。実際、本品のように華奢で軽やかな意匠のジュエリーは、9カラット・ゴールドで作らなければ実用になりません。14カラットや 18カラットの金でこのように繊細なものを作ると、わずかな外力ですぐに曲がってしまい、金製の部分が破損するだけでなく、石も落ちてしまうからです。本品は 9カラット・ゴールドの長所をよく活かした作例といえます。

 9カラット・ゴールドがイギリスで使われるようになったのは 1854年のことで、アンティーク品として市中で見かけるヴィクトリアン・ジュエリーは、大抵の場合、この純度の金が使われています。しかしながら本品に嵌め込まれた二個のアメシストは、クラウン面に注目すると、明らかに二十世紀に入ってからカットされたものです。とりわけドロップのアメシストは、1919年に考案されたラウンド・ブリリアント・カットを施されています。ペンダント全体の意匠はアール・デコ様式に基づいています。したがって本品の制作年代は、1920年代から、遅くとも 1930 - 31年まで(すなわち、大恐慌がイギリスに波及する前まで)と考えられます。





 本品はアール・デコ様式でありながらも、その意匠は「忘れな草」や「すみれ」を思い起こさせます。「忘れな草」や「すみれ」は十九世紀イギリスのセンチメンタル・ジュエリーで偏愛されたモチーフであり、本品がヴィクトリア時代からの伝統と切り離された作品ではないことがわかります。

 二個のアメシストのうち、ペンダントの中央に嵌められているアメシストにはインクルージョンがありますが、この石は特に華やかな、すみれ色がかった濃い色をしています。大プリニウスによると、良質のアメシストが持つこの色を、古典古代のローマ人は「ウェネリス・ゲナ」(VENERIS GENA ヴィーナスの目、あるいは頬)、あるいは「アンテロース」(ἀντέρως 「報われた愛」あるいは「愛に対して返される愛」)と呼びました。





 本品はかなり大きなサイズですが、軽やかな透かし細工であるゆえに、どのような洋服にもよく似合います。金の色合いはピンク・ゴールドがかっています。写真の鎖(9カラット・イエロー・ゴールド製 46センチメートル 10,500円)は別売りですが、色の違いが分かりやすいように、ペンダントに取り付けて撮影しています。

 アメシスト (amethyst) の語源は「酔わない」という意味のギリシア語アメテュストス (ἀμέθυστος) で、この宝石を身に着けていると酒に酔わないとも、冷静さを失わないとも言われています。また二月に強い力を発揮する宝石(いわゆる「誕生石」)、あるいは「うお座」(2月20日 - 3月20日)の宝石とされています。





48,000円 (税込) 販売終了 SOLD

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