ブリリアント・カットのすみれ色ガラス 心の平静と熟慮のアンティーク・ペンダント 植物モティーフのフランス製 31.5 x 19.6 mm


可動式の環を除くペンダント全体のサイズ 縦 31.5 x 横 19.6 ミリメートル

 フランス  十九世紀半ばから後半



 十九世紀半ばから後半のフランスで制作されたアンティーク・ペンダント。植物のつぼみまたは実を意匠化した愛らしく上品なデザインで、ファセット・カットを施したすみれ色のガラスを、銀色の枠にベゼル・セット(覆輪留め)しています。本品は非常にしっかりと作られており、使用中にストーンが脱落することは決してありません。





 本品にはファセット・カットを施したすみれ色のガラスが嵌っています。すみれ色あるいは紫色は「心の平静」や「熟慮」「節制」を象徴します。

 タロット十四番のカードは「節制」を表すカードで、両手に持った水差しの間で生命の水をやり取りする人物あるいは天使が描かれています。「節制」を表すこの絵において、人物あるいは天使の衣の色、あるいは水差しの色は赤と青になっており、一方の水差しが赤、もう一方の水差しが青に塗られている場合もあります。タロット十四番のカードは愛の「赤」と知の「青」の均衡によって節制を表しており、赤と青の中間色である紫も、これと同じ象徴的機能を有します。





 すみれは丈の低い小さな植物で、地表に這いつくばるように慎ましく育ちます。それゆえ宗教的コンテクストにおいて、すみれはへりくだりの象徴とされています。すなわちすみれは神の前に謙虚になり、慢心を捨て、自分を捨てる信仰を表します。すみれ色にもこれと同様の象徴性を認めることができます。





 本品のストーンはガラスで、同色のアメシストよりも若干軟らかい(モース硬度が低い)ので、表面に多数の小瑕(こきず)が付いています。本品はペンダントで、着用中に顔を近づけて観察されることはありませんので、小瑕は気にならないはずです。

 上の写真は本品の裏側です。パヴィリオン(カット石の裏側)の最下部に小さな欠損があり、写真の左下に貝殻状断口が写っています。クラウン(カット石の表側)から見ても、この欠損はまったく見えず、やはり気になりません。





 安価な製品の場合、ガラス製ストーンが型で成型される場合があります。しかしながら本品のガラス製ストーンは、天然宝石と同様に、宝石職人の手で丁寧なブリリアント・カットが施されています。

 ブリリアント・カットというとダイヤモンドに多用されるラウンド・ブリリアント・カットがよく知られていますが、他にもオーヴァル・ブリリアント・カット(楕円形のブリリアント・カット)やマーキーズ・カット(紡錘形のブリリアント・カット)、ペンデロック(洋梨形のブリリアント・カット)、クッション・シェイプト・ブリリアント・カット(クッション形のブリリアント・カット)があります。本品はオーヴァル・ブリリアント・カットです。





 本品の金属部分には、細工師の手作業によって、両面に細かい彫金が施されています。この彫金は鋳型の模様を彫金風に見せかけたのではなく、型で打刻したものでもなく、ビュラン(仏 burin 彫刻刀)と鏨(たがね)による手作業の彫金です。

 金属の材質は詳しく分かりませんが、検質印が無いので銀ではありません。本品が制作された十九世紀は懐中時計の時代で、懐中時計ケースを作るために、摩耗に強く変色しない各種合金が開発されていました。本品の金属部分は懐中時計ケースと同様の素材でできています。そのため長い歳月を経ても変形せず、変色もせず、制作当時の美しさをそのまま保っています。





 本品は高価なジョワヨ(仏 joyau ファイン・ジュエリー)ではありませんが、ガラス職人、宝石カット職人、彫金職人など、多くの人の手によって丁寧に作られており、現代に比べるとはるかに長閑(のどか)であった十九世紀フランスの空気を留めています。真正のアンティーク・ジュエリーでありながら、日頃気軽にご愛用いただける可愛い一点です。





本体価格 15,800円 販売終了 SOLD

電話 (078-855-2502) またはメール(procyon_cum_felibus@yahoo.co.jp)にてご注文くださいませ。




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