ラ・カマルグ 8点揃
la Camargue, 2009




 一点一点を手作業で彩色したフランス製フェーヴ。2009年冬の限定品で、8点揃いのデッド・ストック完品です。

 スイスのローヌ氷河に発してレマン湖を経、フランス南東部を流れるローヌ河は、地中海に注ぎ込む直前、アルルでル・グラン・ローヌ (le Grand Rhone 大ローヌ) とル・プチ・ローヌ (le Pertit Rhone 小ローヌ) に分かれます。この二つの流れに挟まれた三角州がラ・カマルグ (la Camargue) で、8点のファーヴはこの地域をテーマに制作されています。

 カマルグは西ヨーロッパ最大のデルタであり、塩湖に集まるヨーロッパフラミンゴをはじめとする特有の動植物相を有します。カマルゲと呼ばれる白馬に乗った牧童が牛を放牧しており、風光明媚な保養地でもあります。

 歴史的遺産としてはサント=マリ・ド・ラ・メールのバシリカ (la Basilique des Saintes-Maries) があります。この聖堂はマグダラのマリアたちが上陸した聖地として知られ、年に一度ヨーロッパじゅうからジタン(ジプシー)が集うことでも有名です。


(下) 左はサント=マリ・ド・ラ・メールのバシリカの鐘。右はアルルの民族衣装をまとった女性。



(下) ガルディアン(gardian 牧童)。カマルゲ (camargue) と呼ばれる白馬に乗っています。




(下) ガルディアンの小屋。



(下) ガルディアンが放牧する牛。



(下左) カマルグを象徴する十字架。ラ・クロワ・ガルディアーヌ(la croix gardiane ガルディアン十字)またはラ・クロワ・カマルゲーズ(la croix camarguaise カマルグ十字)と呼ばれます。信仰(フォワ foi)を表すクロス、希望(エスペランス espérance)を表す錨、愛(シャリテ charité)を表すハートを組み合わせています。

 ラ・クロワ・ガルディアーヌは、カマルグのガルディアンにシンボルが必要だと考えたフォルコ・ド・バロンチェリ=ジャヴォン (Falco de Baroncelli-Javon, 1869 - 1943) が、友人の画家パウル・ヘルマン (Paul Hermann, 1864 - 1940) に依頼して、1924年に考案されたものです。パウル・ヘルマンはドイツ生まれですが、アンリ・エラン Henri Heran と名乗ってパリで活躍した人で、ムンクの友人でもありました。

 三叉に分かれた先端部はガルディアンの使う突き棒を象っていますが、この部分はサント=マリ=ド=ラ=メールの鍛冶職人ジョゼフ・バルバンゾン (Joseph Barbanson) が1926年に発案したものです。

 ちなみにフォルコ・ド・バロンチェリ=ジャヴォンはジャヴォンの子爵位を有していましたが、自身もガルディアンであり、プロヴァンス語による作家でもありました。フォルコの弟ジャック (Jacques de Baroncelli, 1881 - 1951) は映画監督として、また妹マルグリット (Marguerite de Baroncelli-Javon) はプロヴァンス語文学振興のためにフレデリック・ミストラルらが創始したル・フェリブリージュ (le Felibrige) 運動への参画によって知られています。


(下右) ヨーロッパフラミンゴ。カマルグの海岸沿いは湿地帯になっており、いくつもの塩湖があります。これらの塩湖はヨーロッパフラミンゴの大繁殖地です。



(下) ジタン(ジプシー)の馬車。商品の数は一個で、下の写真は同じフェーヴを異なる角度から撮影しています。サント=マリ・ド・ラ・メールのバシリカにはマリア=サロメ、マリア=ヤコベの他に、二人に仕えたジタンの少女サラの聖遺物があり、年に一度の祭礼にはヨーロッパ各国からジタンが集まります。







8点揃い 本体価格 9,800円 販売終了 SOLD

電話 (078-855-2502) またはメール(procyon_cum_felibus@yahoo.co.jp)にてご注文くださいませ。




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