古美術品の修理・修復
réparations


 古美術品の特性である経年劣化や使用による摩滅は、その品物が歩んできた歴史の記録です。「古美術品が歴史の記録である」というとき、われわれは経年劣化し摩滅した古美術品を指してそのように言っています。これはすなわち、その古美術品に見られる経年劣化や摩滅もまた、歴史の貴重な記録であるということです。

 品物が新品として完成したばかりのとき、それは古美術品ではありませんでした。経年劣化や摩滅こそが、古美術品を古美術品たらしめている属性です。したがって古美術品特有のこれらの属性は、古美術品の偶有的性質ではなく、むしろ本質であると言えます。しかるに古美術品の修理・修復とは、古美術品の本質である歴史性を、再現できない形で消去することに他なりません。


 アンティークアナスタシアは古美術品の歴史性を尊重する立場に立ち、歴史記録の消去はできるだけ避けるべきであると考えています。したがって既に使われておらず、将来使う予定も無い古美術品については、みだりに修理・修復をすべきでないと考えます。

 一方、現在も使われ続ける古美術品が存在します。われわれは現在を過去の歴史から切り離して考えがちですが、現在もまた、遠い過去から流れ続ける歴史的時間の一点を構成するのであり、他の時代と異なるものではありません。現在使われている品物は、いま形作られる歴史を記録しつつあることになります。

 いま形作られつつある歴史の記録は、過ぎ去った歴史の記録に比べて、重要性に劣るわけではありません。それゆえに、過去から伝えられた古美術品が現在も使われ続けている場合、故障や破損が起これば修理をして、その品物が歴史を記録し続けられるように図らうことも、歴史を愛する者の使命であるといえましょう。


 以上のような考えに基づき、アンティークアナスタシアでは古美術品の歴史性を最大限に尊重しつつ、実用するために最小限必要な修理・修復を行っています。このページでは時計以外の古美術品に関して、修理・修復の実例を取り上げます。アンティーク時計の修理・修復に関しては、こちらのリンク先をご覧ください。


 銀製カリス a sterling silver chalis, hallmarked at Birmingham assay office, 1778




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