アンティークアナスタシア　神戸北野町　美術工芸品のレファレンス　メダイユ彫刻　ジョルジュ＝アンリ・プリュドム　Georges-Henri Prud'homme, 1873

ジョルジュ＝アンリ・プリュドム
Georges-Henri Prud'homme, 1873 - 1947

　ジョルジュ＝アンリ・プリュドム　1909年頃に撮影された写真

　ジョルジュ＝アンリ・プリュドム (Georges-Henri Prud'homme, 1873 - 1947) は、1873年2月9日、スペインとの国境近く、ビスケー湾に面する町カブルトン（Capbreton　アキテーヌ地域圏ランド県）に生まれました。父ジャン＝アンリ・プリュドム (Jean-Henri Prud'homme) は腕木信号所の所長としてカブルトンに赴任し、妻アントワネット・プロニエ (Antoinette Pronier) との間に、1866年に生まれた長子マリ＝セザリーヌ (Marie-Césarine) を皮切りに、1873年生まれのジョルジュ＝アンリまで、当地で二男三女をもうけています。しかしながらジョルジュ＝アンリの誕生以降、プリュドム家に関する誕生、結婚、死去等の公的記録はカブルトンに一切残っていないので、プリュドム家はジョルジュ＝アンリの誕生から時間を措かずに転出したのでしょう。

　1892年、ジョルジュ＝アンリはラ・ロシェル市（La Rochelle　ポワトゥー＝シャラント地域圏シャラント＝マリティーム県　註1）から奨学金を得て、パリの国立装飾美術学校 (l'École nationale supérieure des Arts Décoratifs, l'EnsAD, "Les Arts déco") に入ります。次いで国立高等美術学校 (L'École nationale supérieure des Beaux-Arts de Paris, ENSBA) に進み、美術教育に優れた業績を残した彫刻家アレクサンドル・ファルギュイエール (Alexandre Falguière, 1831 – 1900　註2) と、やはり優れたメダイユ彫刻家であるアルフェ・デュボワ (Alphée Dubois, 1831 - 1905) に師事しました。

　1894年以降、ジョルジュ＝アンリ・プリュドムはサロン展 (Le Salon des artistes français) に定期的に出品し、1901年に選外優良賞 (mention honorable)、1904年に三等メダル、1911年に二等メダルを受賞しています。1923年にはレジオン・ドヌール章シュヴァリエを受けています。

　ジョルジュ＝アンリ・プリュドムが制作するメダイユは、古典的テーマから歴史、風俗、肖像まで多岐に渡ります。またアルフェ・デュボワから郵便切手の図版製作も学んでおり、1923年から1930年の間に発行された20種類（うち19種類はルイ・パスツール、1種類はラ・スムーズ la semeuse）の版製作を手掛けています。

註1　ラ・ロシェルはビスケー湾に面した港町で、カプルトンの北 280キロメートルにあります。ダヴィッド・ダンジェ (Pierre-Jean David d'Angers, 1788 - 1856) は、王政復古期の「ラ・ロシェルの陰謀」事件で処刑された四人の下士官を記念して、メダイユを製作しています。

註2　アレクサンドル・ファルギュイエール (Alexandre Falguière, 1831 – 1900　註2) は高名な彫刻家で、浮き彫り彫刻「勇敢な息子ラウススに救われる手負いのメゼンティウス」("Mézence blessé, préservé par l'intrépidité de son fils Lausus") により、1859年のローマ賞プルミエ・グランプリを獲得し、1882年にパリの国立高等美術学校の教授に就任するとともに、フランス学士院の芸術アカデミー (l'Académie des Beaux-Arts) 会員に選ばれました。パリ凱旋門の彫刻「共和国の勝利」("Le Triomphe de la République")、ワシントンの「ラファイエット像」("La Fayette") はいずれもファルギュイエールの作品です。

　ファルギュイエールはオーギュスト・ロダン (Auguste Rodin, 1840 - 1917) の友人であり、アントワーヌ・ブールデル (Antoine Bourdelle, 1861 - 1929) の師としても知られています。