ジョン・ギルバート作 「ガイウスの家のクリスティアーナ」 アーミテイジによるスティール・エングレーヴィング 1886年

Christiana at the House of Gaius


原画の作者  (Sir John Gilbert, 1817 - 1897)

版の作者 J. Ch. アーミテイジ (James Charles Armytage, 1802 - 1897)


画面サイズ  縦 168 mm  横 260 mm


イギリス   1886年



 ジョン・バニヤン(John Bunyan, 1628-1688)はイギリスのピューリタンで、説教師であると同時に作家でもあり、生涯に60冊以上もの本を書いています。そのなかで最も有名なのが「天路歴程」(The Pilgrim's Progress, 正編1678年、続編1684年)という作品で、百数十か国語に訳されています。自らの罪深さに悩む男が巡礼を続けてついには天国に至るというたいへん宗教的な内容の本ですが、文学形式から見れば、デフォーの「ロビンソン・クルーソー」に先んじてイギリス最初の小説というべき作品です。


 この版画に描かれているのは「天路歴程」の1シーンで、ガイウスという人の家で巡礼者がごちそうを振舞われる場面です。食卓についているひとり(横顔を見せている若い男性)が「りんごはアダムとエヴァが罪を犯すきっかけになったのに、私たちはそんなも果物を食べても良いのでしょうか」と尋ね、ガイウスが「罪の原因は人間であってりんごではない。りんご自体は良い物です」と答えています。この絵の題名となっているクリスティアーナは画面中央で幼児を抱いている女性の名前です。

 なお聖書によると、アダムとエヴァが食べたのは「善悪を知る木の実」であって、「りんご」とはどこにも書いてありません。「善悪を知る木の実」がりんごと同一視されるようになった背景には、リンゴはヨーロッパ各地で最も普通に見られる果物であるという事情があるようです。「創世記」が言う「善悪を知る木の実」とは、中東に多いアンズか柑橘類ではないかと考えられています。


《原画の作者について》

 ジョン・ギルバート(Sir John Gilbert, 1817-97)は当時の多くの画家と同様、独学で絵を学びました。

 1836年に水彩と油彩の作品を発表して以来、シェークスピア、セルバンテス、ウォルター・スコット、ディケンズ、ルイス・キャロルなど 150冊もの本に挿絵を描き、またパンチ、ワンス・ア・ウィークなどの定期刊行物にもイラストを描きました。特に創刊当初から挿絵を担当したイラストレイティッド・ロンドン・ニューズには3万枚もの絵を描いたと言われています。

 ギルバートは多作の画家としてウォルター・スコットにもたとえられましたが、その名声を支えたのは何よりもまず作品の芸術性でした。ギルバートのペン運びは常に正確で情感がこもり、美術批評誌からは「史上最高の挿絵画家」という最大級の賛辞を贈られました。

 ギルバートは1871年にイギリス水彩画家協会(the British Society of Painters in Water-Colors)の会長に選ばれ、1876年には王立アカデミーの会員になりました。1872年にはナイトに叙されています。


《額装について》




 版画は未額装のシートとしてお買い上げいただくことも可能ですが、当店では無酸のマットと無酸の挿間紙を使用し、美術館水準の保存額装を提供しています。上の写真は額装例で、外寸 40 x 31センチメートルの木製額に、緑色ヴェルヴェットを張った無酸マットを使用しています。この額装の価格は 24,800円です。

 額の色やデザインを変更したり、マットを替えたりすることも可能です。無酸マットに張るヴェルヴェットは赤や青、ベージュ等に変更できますし、ヴェルヴェットを張らずに白や各色の無酸カラー・マットを使うこともできます。


 版画を初めて購入される方のために、版画が有する価値を解説いたしました。このリンクをクリックしてお読みください。





本体価格 27,800円 (額装別)

電話 (078-855-2502) またはメール(procyon_cum_felibus@yahoo.co.jp)にてご注文くださいませ。




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