ガロファーロ作 「聖アウグスティヌスの幻視」 ジョセフ・ロウルズによる小品インタリオ 1832年

The Vision of St. Augustine


原画の作者 ガロファーロ(Garofalo, Benvenuto Tisi, 1481 - 1559)

版の作者 ジョセフ・ロウルズ(Joseph Rolls, fl. 1832 - 1838)


画面サイズ  縦 101 mm  横 129 mm


イギリス  1832年



【原画の作者について】

 ガロファーロ(Garofalo, 本名 Benvenuto Tisi, 1481~1559)はイタリア、フェラーラの画家で、フェラーラ、ボローニャ、ローマ等の教会を主な活躍の場としました。フェラーラ画派の中心人物であるとともにヴェネツィアのジョヴァンニ・ベリーニやジョルジョーネの影響、また特にラファエロの影響を強く受けています。

 この作品はロンドンのナショナル・ギャラリーに収蔵されているものです。ガロファーロの作品はロンドンのナショナル・ギャラリー、ウフィツィ美術館、メトロポリタン美術館、ワシントンのナショナル・ギャラリー・オブ・アート等にも収蔵されています。


【この版画のテーマについて】

 キリスト教史で最も偉大な教父、ヒッポの聖アウグスティヌス(Augustinus, 354~430)の幻視を描いた絵。


 アウグスティヌスはカルタゴ生まれのアフリカ人で、グノーシス派をはじめ様々な異端派が乱立した初代教会の時代にあって正統なキリスト教の擁護に努め、神学の発展に尽くしました。「神は三つにして一つである」というキリスト教最大の玄義、《三位一体》に理論的説明を加えたのもアウグスティヌスの功績です。(De Trinitate, 400-416)彼なくしてその後のキリスト教神学の発展はあり得ません。西洋哲学史の時代区分では彼の死をもって古代の終りとしているほど偉大な教父です。

 アウグスティヌスはこのように偉大な神学者・哲学者ですが、キリスト教の考えでは、人間の知性によって神の属性を知ることはできません。中世最大の神学者・哲学者であるトマス・アクィナスも、あるとき幻視を見てから「私が見た物に比べれば、これまでに考え書き記してきたことは塵のようなものだ」と言って、著述をぷっつりとやめてしまいました。アウグスティヌスは死ぬまで書物を書き続けましたが、彼の優れた知性をもってしても、神の属性を知ることはまったく不可能です。


 この絵は三位一体について思いを巡らしていたアウグスティヌスが見た夢を描いています。夢にはひしゃくを持った子供が出てきて地面に掘られた小さな穴をアウグスティヌスに示し、「あなたが三位一体を理解するよりも、海の水を全部このひしゃくで小さな穴に移し替えるほうがまだやさしい」と言ったそうです。

 絵の中でアウグスティヌスの後ろに立っているのは3世紀ごろの殉教者アレクサンドリアの聖カタリナです。彼女が手にしているナツメヤシの葉は殉教者の印です。天からは聖家族と天使達の奏楽隊が地上の様子を見守っています。


参考 原作 Saint Augustine with the Holy Family and Saint Catherine of Alexandria 1520年頃 板に油彩 64.5 x 81.9 cm ロンドン、ナショナル・ギャラリー蔵




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