チャールズ・ウエスト・コウプ作 「若き母」 細やかな情愛を描いた名品エングレーヴィング ニューヨーク、D. アップルトン社 1877年
The Young Mother
原画の作者 チャールズ・ウエスト・コウプ (Charles West Cope, 1811 - 1890)
版の作者 ジョン・ヘンリー・ロビンソン (John Henry Robinson, 1796 - 1871)
画面サイズ 直径 213 mm
チャールズ・ウェスト・コウプ(Charles West Cope, 1811-1890)はパリとイタリアに学んだイギリスの画家で、王立アカデミーには1833年に最初の出展をしています。1843年にはイギリス上下両院を飾る作品のコンペで一等を受賞し、現在でも中央回廊に見ることができる壁画「ラッセル夫妻の別れ」(1859年)をはじめ、数点の作品を議事堂に納めています。チャールズ・ウェスト・コウプの絵の題材は肖像画をはじめさまざまな分野に及び、多くの美しい版画にもなっています。
コウプが1833年に王立アカデミーに出展したのは、母子を描いた「黄金時代」("The Golden Age")という題名の作品でした。コウプ自身はあまり乗り気ではなかったようですが、友人たちに強く勧められて出展したところ、意外にも展覧会が正式に始まる前に高名なコレクターに買い上げられました。このとき以来、コウプは大作を制作する合間に、妻と子供をモデルにして数々の優れた母子像を描いています。本品「若き母」("The Young Mother")もそのひとつで、母子の間に通う深い愛情がにじみ出る美しい作品に仕上がっています。画面左下にコウプのモノグラム(署名)と1858年の年号が読み取れます。
額装について
版画は未額装のシートとしてお買い上げいただくことも可能ですが、 当店では無酸のマットと無酸の挿間紙を使用し、美術館水準の保存額装を提供しています。下の写真は額装例で、外寸
40 x 31センチメートルの木製額に、青色ヴェルヴェットを張った無酸マットを使用しています。この額装の価格は 24,800円です。
額の色やデザインを変更したり、マットを替えたりすることも可能です。無酸マットに張るヴェルヴェットは赤や青、ベージュ等に変更できますし、ヴェルヴェットを張らずに白や各色の無酸カラー・マットを使うこともできます。
アンティーク・インタリオ(エッチング及びエングレーヴィング)の細密さは、原寸大の写真によって再現することができません。コンピューターのモニターで表示するために、版画の全体像を把握しやすいサイズまで画素数を落とすと、細部はすべて失われます。細部がどのように彫られているかを示すためには、版画の数か所を選んで接写し、顕微鏡写真のような拡大写真で示すしかありませんが、拡大写真は現物のサイズとかけ離れています。これに加えて、現物のアンティーク・エングレーヴィングは、拡大写真でも判別が困難な細密さを有しており、それらの細部は版画作品の全体を肉眼で見たときの驚くべき写実性に貢献しています。
私がここに書いていることを理解するには、現物をご覧いただくしかありません。アンティーク・エングレーヴィングの現物は写真で見るよりもはるかに美しく、購入された方には必ずご満足いただけます。
版画を初めて購入される方のために、版画が有する価値を解説いたしました。このリンクをクリックしてお読みください。
参考 コウプによる他の作品二点
「朝食の時間」 Breakfast times - Morning games カンヴァスに油彩 60.5 cm x 71.5 cm
「母性愛」 Maternal Affection 1854年頃 板に油彩 65 cm x 47 cm
コウプの原画に基づくスティール・エングレーヴィング作品二点
ともに チャールズ・ナイトの「シェイクスピア作品集」(Imperial Edition of The Works of
Shakespere, London, Virtue and Company, 1873-76) より
「冒険を語るオセロ」 Othello Relating His Adventures, 1853 版の作者: トマス・ヴァーノン (Thomas Vernon, c. 1824 - 72)
「レスター修道院のウォルジー」 Wolsey at Leicester Abbey 版の作者: ウィリアム・グレイトバーク (William Breatbach, 1802 - c.1885)