第一部 初期地球の環境変化と、生命の誕生

4. 深海の熱水噴出孔と、生命の誕生

 生命の誕生に必要なのは、次の二つだ。

 

① 生物の体を作る元素 (体の材料になる物質)

 

 水素(H)、酸素(O)、炭素(C)、窒素(N)、リン(P)、硫黄(S)など

 

エネルギー源 (生命を保ち、動いたり子孫を作ったりする力のもと)

 

 気体の水素、硫化水素、メタン、一酸化炭素など

 

 

 地球上で①と②の両方が揃うのは、深海で海洋プレートが新たに生まれる場所にある熱水噴出孔(ブラック・スモーカー)だけだ。熱水噴出孔からは300℃以上の水(熱水、熱湯)が吹き出ている。高温高圧の水は、地上の水や湯よりもずっと大量の物質を溶かして、スープのように濃くなっている。このような状態の水の中では、違う種類の物質が結びついて新しい物質を作る化学反応が起きやすい。最初の生命は、このような場所で誕生したにちがいないと考えられている。

 

 生命が深海で誕生した頃、浅い海は生命にとって危険な場所だった。なぜなら浅い海には太陽の光だけでなく、太陽風も届いていたからだ。「太陽風」は太陽から届く放射線のことだ。放射線とは放射能を持つ物質(放射性物質)から出る目に見えない光(電磁波)で、細胞内の遺伝子(DNA)を大きく傷つける。遺伝子(DNA)が傷つくと、タンパク質を合成する「同化」のはたらきができなくなるから(II - 16 - 1~2)、生物は生命活動を維持(いじ 保つこと)できず、死んでしまう。もしもその生物自身が死ななくても、子孫を残せなくなったり、子孫に異常が発生したりする。





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